2019.06.20

お菓子や料理に万能な食材!さつまいもの種類や主な生産地は?

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焼き芋のイメージ画像

さつまいもは料理だけでなく、スイートポテトやクッキーなどのお菓子にも使える、とても万能な食材です。実はこのさつまいも、非常に種類が豊富で、それぞれに異なる個性を持っているのです。

この記事では、さつまいもが日本にやってくるまでの歴史や詳しい栄養素、日本で手に入る主なさつまいもの種類や生産地について解説します。

原産地は中南米!さつまいもの歴史は古い

さつまいもはヒルガオ科サツマイモ属の植物です。ヒルガオ科というだけあり、さつまいもの花は昼顔によく似ています。そして、普段から食べている部分は実ではなく、肥大した根です。一部食用ではないさつまいももあり、それらは芋焼酎の原材料として使用されています。また、食べられるのはこの根だけではありません。
芋づると呼ばれるさつまいもの茎の部分も食べることが可能です。
さつまいもが美味しい旬の時期は、10~1月頃とされています。しかし、収穫自体は8月頃から行われます。収穫から少し時間を置くことで、甘みが増して美味しくなるのです。

さつまいもの原産地はメキシコや中南米です。しかし今日では、ほとんどのさつまいもがアジアで生産されています。もちろん、日本も生産国のひとつです。日本国内で作られているものだけでも種類は豊富ですが、海外で作られたさつまいもも含めると、3000~4000種類あるといわれています。

もともとメキシコや中南米で作られていたさつまいもは、コロンブスによってヨーロッパに伝わりました。その後、インドや東南アジア、中国に伝わり、日本で今日食べられているものは、この中国からやってきたさつまいもです。

日本では最初に琉球、次に種子島に伝わり、その後薩摩藩で栽培されるようになりました。この時点では、中国からやってきたため「唐いも」と呼ばれていたさつまいも。1732年に起こった「享保の大飢饉」をきっかけに、薩摩藩から江戸幕府へと伝わります。

これにより薩摩藩からやってきた芋として、関東では「さつまいも」と呼ばれるようになり、現在へと至るのです。

土から出したさつまいものイメージ画像

食物繊維が豊富なさつまいもの栄養素とは?

さつまいもはカリウムやビタミン、食物繊維が特に豊富です。蒸したさつまいも100gあたりには、カリウムが480mg、ビタミンCが29mg、食物繊維が2.3g含まれています。さつまいもの栄養価は品種や蒸し・焼きなどの調理法によってやや異なります。

先と同様に蒸した状態のさつまいもで例を挙げると、100gあたりの含有量は、カルシウムが36mg、リンが47mg、葉酸が50mcgです。また、脂肪酸として知られるパルミチン酸は20mg、リノール酸は21mg含まれています。

さらに、イソロイシンが47mg、リシンが59mg、シスチンが21mg、アラニンが60mg、グルタミン酸が160mg、ロイシンが74mg、チロシンが37mg、トレオニンが37mg、バリンが66mg、アルギニンが48mg、グリシンが52mg、セリンが70mg含まれています。

これらはすべてアミノ酸で、さつまいもに含まれるアミノ酸の種類はこんなにも豊富なのです。
このほか、マグネシウムを24mg、βカロテンを29mcg、でんぷんを17.5g含んでいます。

細切りにしたさつまいものイメージ画像

皮の色や実の色もさまざま!さつまいもの種類

今日流通しているさつまいもとしては、紅あずま、高系14号、鳴門金時の3つが主流です。
まず、紅あずまは関東を中心に栽培されている品種です。繊維質はあまり感じられず、甘みが強いのが特徴で、ほくほくとした食感とねっとりとした食感のバランスがとれています。焼き芋や天ぷら、お菓子まで幅広く使えます。

次に、高系14号は高知の試験場で選抜・育成された品種です。生の果肉の色はクリーム色ですが、焼くときれいな黄色になります。甘みが強くねっとり感があることから、ペーストとして利用されることが多く、お菓子に向いているといわれています。

最後に、鳴門金時は、関西を中心に流通している品種です。「なると金時」という表記は商標登録されており、徳島県の特定の地域で作られたものしかこの名前を名乗ることはできません。甘みが強く保存しやすい点が特徴です。ほくほくした質感なので、お菓子よりも焼き芋や天ぷらなどに向いているでしょう。

さつまいもには、これらのほかにも五郎島金時、安納いも、黄金千貫(こがねせんがん)、種子島紫、パープルスイートロード、べにはるか、シルクスイートなどの種類があります。

五郎島金時は加賀伝統野菜のひとつに数えられるさつまいもです。鳴門金時と同様に「五郎島金時」の名前も商標登録されており、限られた指定農家だけしかその名前を使えません。

ほくほくしており甘みが強いのが特徴です。ほくほくの五郎島金時とは対照的に、ねっとりしたクリーミーな質感が特徴なのが安納いもです。種子島の在来種で、カロテンが豊富なため、果肉がオレンジ色をしています。生の状態でも糖度が高いですが、加熱するとさらに糖度が増すため、焼き芋に向いています。

また、黄金千貫も色に特徴があるさつまいもです。黄金千貫は皮も果肉も白っぽい黄色をしていて、じゃがいもに似ています。
でんぷん質が多く、加熱するとさらっとするので、天ぷらや焼き芋などに向いているでしょう。

さらに、果肉が紫色をしていることが特徴的なのが、種子島紫です。
果肉は紫色ですが皮はベージュをしており、一般的なさつまいもとは逆の色をしています。焼酎の原材料として使われたり、きれいな紫色を活かしてスイートポテトなどのお菓子に使われたりすることが多い品種です。

同じく果肉が紫色の品種には、パープルスイートロードがあります。これは2004年に登録された品種で、種子島紫との大きな違いは皮も紫色をしていることです。種子島紫と同様にどちらかというと粉質ですが、甘みが強いので、焼き芋や蒸し芋としてそのまま食べても美味しいでしょう。

比較的新しい品種には、べにはるかとシルクスイートがあります。
べにはるかは2010年に登録された品種で、蒸したときの糖度が非常に高く、しっとりしているところが特徴です。焼き芋やお菓子、天ぷらだけでなく、そのしっとりさを活かして干し芋に使われることもあります。一方のシルクスイートも、べにはるかと同じようにしっとり系のさつまいもです。

焼き芋にしたときの舌触りが絹のようになめらかなところが特徴です。品の良い甘さがあるので、焼き芋やお菓子に向いています。

さつまいもを使ったスイーツのイメージ画像

生産量が多いさつまいもの主な栽培地は?

日本におけるさつまいもの生産地は、鹿児島県、茨城県、千葉県が中心です。

2017年の調査では、1位の鹿児島県のさつまいも生産量が約28万トンで、2位の茨城県の生産量、約17万5000トンを大きく上回っています。3位の千葉県の生産量は約10万トンで、これら3県だけで全国シェアの約7割を占めています。千葉県に続き、4位が宮崎県で約9万トン、5位が徳島県で約3万トンの生産量です。

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