2019.07.05
水産

選ぶマグロはメニューで変わる!ぴったりの種類や部位を見極めよう

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ひとくちにマグロといっても、その部位や種類はさまざまです。それぞれの部位や種類は、脂の乗りが違ったり、風味が違ったりして、まったく別の料理として使われることもあります。

細部までひとつずつこだわることで、おいしいマグロを年中食べることが可能です。新しい料理へのヒントが見つかることもあるでしょう。マグロの種類別に、旬や味の特徴を紹介していきます。

酸味と甘みのバランスが絶妙なクロマグロ

別名「本マグロ」とも呼ばれるクロマグロは、最高級のマグロと称されることも多い種類です。多くの特徴が料理に適しており、そのように愛されるのもうなずけます。まず挙げられるクロマグロの特徴は、脂の乗りが非常にいいということです。

特に脂がたっぷりのったトロの部分が多く、トロには甘みも感じられます。脂には、高級な牛肉のようにサシの入った部分があり、とろりと溶けやすいので舌触りがいいという声も非常に多いです。特に、秋から冬にかけて獲れる身が締まって脂の乗ったクロマグロは、非常に人気の高いマグロのひとつです。

全体の特徴としては、旨味はもちろんのことながら、程よい酸味が十分なアクセントを生み出します。色鮮やかな赤身は旨味が濃く、刺身やお寿司に使われることが多いです。さらに、天然のクロマグロは、状態がいいものに限り熟成させることができるという特徴もあります。

熟成させると、旨味や味わいがさらに濃さを増し、食感もよりやわらかくなります。日本近海では最大級の大きさを誇り、新鮮な色合いをとってもよし、熟成のさらなる旨味と香りをとってもよしの、まさにマグロの王様的存在です。

甘みが濃厚で旨味が深いミナミマグロ

いわゆるインドマグロとも呼ばれるミナミマグロは、クロマグロと競うほどの高い人気を誇ります。その特徴としては、硬くしまった赤身の深い味わいのほか、ねっとりと濃厚なトロの部分も挙げられるでしょう。分厚いトロには、ほかのマグロとはまた違ったコクがあり、刺身や寿司ネタとして好まれる場合が多いです。

さらに、甘みに関していえば、ほかのどのマグロと比較しても甘いといわれるほどです。口いっぱいに広がる甘みがクセになるのも、人気の特徴のひとつです。さらに、色にも特徴があり、非常に鮮やかな赤色は、ときに赤いダイヤなどと表現されることもあるほどです。

天然ものは南半球にしか生息しておらず、限られた場所のみで春先から夏にかけて獲ることができます。かといって、なかなか巡り会えない珍しい食材かといったら、そういうわけではありません。養殖も盛んに行われており、年中流通しているので、目にかかることも多いでしょう。

流通も盛んで味も文句ないミナミマグロですが、ひとつだけ難点を挙げるとすれば、色の変わりが早いということです。見た目以上に脂の回りが早いということもあるので、できるだけ早いテンポで使っていくことがおいしく提供するコツです。

さっぱりとしたメバチマグロは調理向き

メバチマグロは、程よい脂の乗りでさっぱりと食べられるマグロです。軽く火を通すと鮮やかに色が出ることが特徴なので、刺身のほかに、レアカツやアボカドサラダなど、料理のアクセントとして使われることも多い食材です。

クロマグロやミナミマグロに比べて変色も遅いので、管理もしやすく、まさに万能タイプのマグロといえるでしょう。その色持ちのよさに加えて、世界中の海で一年を通して獲れることからスーパーなど、量販店で使われることも多く、一般家庭にもなじみが深いです。クロマグロなどの値段と比較しても、リーズナブルな場合が多いことも特徴のひとつといえます。

トロの部分にはスジが多いので、刺身ではなく炙りにすることで魅力を引き立たせることが可能です。スジがとろけることにより舌触りがよくなり、クロマグロやミナミマグロにも引けをとらないトロへと進化を遂げます。特に、秋頃に三陸沖などで獲れるメバチマグロは、水っぽさもなく引き締まった食感を楽しめます。

キハダマグロはあっさりとした赤身が魅力

身が硬めで、あっさりとしたクセのない赤身が、キハダマグロの特徴です。刺身にしても身崩れを起こしません。また、刺身のほか、ヅケやステーキなどの料理にも向いています。色はクロマグロなどと比較するとそれほど赤は強くありません。

その代わりに、透明感のある美しい色合いをしています。脂があまり多くはないので、ほとんどトロは取れませんが、それを差し引いても上品な赤身を楽しむことができる食材です。また、希少だからこそキハダマグロのトロは、根強い人気がある部位です。

暖かい海域で獲れるので、もちろん日本でも特に三重や九州など西のほうで水揚げされます。よって、関西地方の赤身といえば、キハダマグロとされることが多いです。もちろんそのほかの地域でも、特にツナ缶やネギトロなど、加工食品としての需要が高い種類です。

春先から夏にかけてのキハダマグロは脂の乗りもよく、ミナミマグロにも負けるとも劣らない身のねっとり感があり、それを好む職人も少なくありません。また、メバチマグロと同様に、色変わりしにくいので保管に適しているのも、魅力のひとつでしょう。

安く手に入るビンナガマグロは冬が旬

胸ヒレを広げて泳ぐ姿から、別名トンボとも呼ばれるビンナガマグロは、身が柔らかく脂が少ないことが特徴の、程度の良いあっさりとした舌触りのマグロです。ビンナガマグロもツナ缶の原料になるマグロなので、一般の家庭になじみのある種類です。冬になると脂の乗りがよくなり、ねっとりとした食感と、ピンク色の見た目でまるでトロのような味わいを楽しむことができます。

年間を通して安値で手に入りやすく、しかし値段の割に味わい深い甘みも含んでいるので、回転寿司などでも「ビントロ」という名前で使われることが多いマグロです。キハダマグロやメバチマグロが見られない地中海などにも生息しており、広い範囲で世界中に愛されています。特に冬が旬とされるので、冬のみビンナガマグロを使用するという料理人も数多くいます。

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