2019.07.05
水産

食べ方で選ぶ5種類の鮭!産地や脂の乗りで使い分ける

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生鮭のイメージ画像

鮭はさまざまな種類があって、時期による違いもあるため、脂の乗りや旨味にそれぞれ差があります。これから鮭を取り入れたメニューを考える際には、どの種類の鮭を使うのか、脂の乗りや味などを踏まえて選ぶ必要があるのです。そこで、鮭のそれぞれの種類や時期によってどう味が違うのか、どんな調理方法が適しているのか解説しましょう。

刺身なら養殖のサーモントラウト

サーモントラウトはニジマスを品種改良して、海面養殖によって育てられたもので、人工的に作り出された品種です。スーパーでお刺身用として売られていて、回転寿司でもよく使われています。生食できるものは養殖物のサーモントラウトで、日本ではチリ産とノルウェー産のものが多いです。ただ、日本でも、ご当地サーモンとして津軽海峡では「海峡サーモン」、長野県では「信州サーモン」などを養殖しています。脂乗りがよくて、身がしっかりとしているのが特徴です。刺身だけではなく、スモークサーモンの原料や寿司ネタ、焼き物などでも利用されます。

サーモントラウトは産地ごとに差があって、脂乗りや身質が違っているため注意しましょう。チリ産は、90年代に日本会社が開発事業として手掛けたため、日本人好みとなっています。日本では、チリ産のサーモントラウトが刺身向けとして流通しています。ノルウェー産は、チリ産と比較して脂乗りが強くて、身質が柔らかいのが特徴です。日本国内のご当地サーモンは、小型のサイズのものが多く身質はしっかりとしています。各地域の料理屋で刺身として提供されていることが多いです。

サーモン寿司の画像

焼き物用の切り身として手頃な銀鮭

日本で流通している銀鮭は主にチリ産の養殖物で、スーパーで切り身として特売されています。脂乗りがよくて、身質が柔らかいのが特徴で、焼き物用の切り身が主な用途です。国内では、チリ産の銀鮭が圧倒的に多いのですが、三陸沖や鳥取沖、佐渡沖などで日本産の銀鮭も養殖されています。
天然の銀鮭はアメリカやロシアのものがあって、量はあまり多くありません。時期としては、チリ産は11月〜1月にかけて水揚げされ、日本には1月〜4月にかけて入ってきます。ただ、今では年間を通して量販店にチリ産の銀鮭が並んでいるため、いつでも入手できるでしょう。特に品質がよいとされているのは、現地で11月〜12月に水揚げされたものです。

国産の銀鮭は春先に出荷されるため、4月〜6月のものがよいとされています。ただし、冷凍されてしまうとチリ産と違いがなくなってしまうため、鮮魚のものを入手しましょう。

銀鮭といえば、三陸沖のものはチリ産よりもクセが強いとされていたのですが、今では技術が改善されたことでおいしくなっています。また、銀鮭を刺身に使えるようにするための試みもあって、三陸沖のものは刺身として評価が高いです。

焼鮭のイメージ画像

コクと旨味が濃い紅鮭は天然もの

紅鮭は北海道のほかに、アメリカやロシア、カナダなどでも漁獲されています。北海道で水揚げされるものは、大型船がロシア海域でとったものです。

紅鮭には南限があって、これは日本のさらに北に位置するため、国内では天然紅鮭を漁獲することはできません。日本で北海道産として売られる紅鮭は、正確にいえばカムチャッカ系の紅鮭です。北海道で水揚げされた「本ちゃん」が最も評価されて、「ロシア」、「アメリカのローカル」、「アメリカのブリストル」と続きます。紅鮭には養殖はなく100%天然物のため、時期による差が大きく、一概にどの産地が一番よいとはいえないのです

紅鮭を養殖する試みは行われているのですが、技術が進歩しても未だに実現していません。紅鮭は環境の変化に敏感に反応する魚で、きれいな海でしか育たないからです。海が汚染されていないだけではなく、遡るための河や排卵のための湖もきれいでなければいけません。そのため、地球上の限られた地域にのみ紅鮭は生息しています。希少価値が高く、おいしいとされているため、高値で取引されているのです。

紅鮭は、脂のりがよくてもあっさりとしていて、身にはしっかりした味があります。また、天然もののため、養殖特有の臭みがありません。鮭は赤みが強いものほどおいしいとされていて、紅鮭は特に赤みが強いため美味とされています。さまざまな用途に使われ、特に塩をして干すのに適している鮭です。紅鮭を塩漬けしたものが瓶詰めにされてよく売られています。そのままご飯と一緒に混ぜ合わせたり、お茶漬けにしたりするだけでもおいしくて人気が高いです。

焼鮭と他食材との料理イメージ画像

秋鮭と時鮭はどちらも回遊中の白鮭

日本で昔から食されてきた馴染みの深いものは秋鮭です。分類上は白鮭に属し、産卵で秋に戻ってきたものを秋鮭、回遊している春に水揚げされたものを時鮭と呼びます。秋鮭は産卵するために戻ってきているので脂は少なめです。ただ、鮭としての旨味はしっかりと出ていて、ムニエルやちゃんちゃん焼きなどに合います。脂の少ない秋鮭は、加工の仕方や塩の入れ具合などで大きく味が変わるため注意しましょう。

秋鮭がとれるのは9月〜11月にかけた時期で、北海道を中心として、青森や岩手などの東北地方、さらに新潟などでも漁獲されます。時期が遅いものほど卵に栄養がいってしまうため、身を食べるなら9月のものがよいです。量販店では9月から生の秋鮭が並び、年末には新巻鮭の切り身として秋鮭が売られます。

時鮭は海游中のしっかりと脂がのった時期の鮭でふっくらとしたものが多いです。特に日本沿岸でとれるものほど脂のりがよく、ロシア海域に近づくほど脂の質はあっさりしています。一般的には北海道沿岸で定置網に入るものが一番評価が高いです。特に3キロ以上のものは脂のりがよく、旨味があります。ロシア海域で漁獲されたものは、比較的評価が低いです。ただし、時鮭は魚の大きさや漁獲された時期によって脂のりに差があって、必ずしも北海道産が一番よいとは限りません。そのため、脂のりのよい時鮭を入手したいならば、時期によって産地やサイズを選ぶ必要があります。

サーモン寿司のイメージ画像2

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