2019.07.09

食卓を明るくするビーツの赤!鮮やかな色を活かす調理方法を知ろう

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根っこのついたビーツの画像

ビーツとはサトウダイコンの一種であり、真っ赤な見た目が特徴的な野菜です。ロシア料理の代表格、ボルシチに使われていることで有名になりました。

ボルシチが赤くなるのは、ビーツの色に染まっているからです。ただし、ビーツにはボルシチ以外にもさまざまな使い道があります。この記事では、ビーツの食べ方について解説していきます。

健康野菜として注目されるビーツ

日本国内でビーツは、それほど知名度の高い食材とはいえません。しかし、シェフやグルメの間ではミネラル分が豊富で、健康野菜として注目されています。たとえば、鉄、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リンといった体の組織を作るために欠かせない成分が大量に含まれています。

特に、カリウムの含有量はほかの野菜と比べても多く、効率的に摂取可能です。そのほか、ビタミン類の含有量も豊富で栄養バランスのとれた野菜だといえるでしょう。ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンB群などを摂取したいときには便利です。

また、ビーツは真っ赤なビジュアルが印象的です。赤い色素ベタシアニンはポリフェノールの一種で抗酸化作用を期待することができます。老化の原因となる酸の働きを抑制できるので、肌のツヤやハリが気になる人に効果的とされています。さらに、オリゴ糖の一種であるラフィノースも含んでいます。そのほか、NO(一酸化窒素)の生成を助け、血管を広げてくれます。

ちなみに、NOを生成する働きについては学界から大きな反響がありました。発見した3人の学者、ルイス・J・イグナロ氏、ロバート・ファーチゴット氏、フェリド・ムラド氏にはノーベル生理学・医学賞が贈られています。このニュースをきっかけに、ビーツの魅力が認識されるようになりました。

ビーツと他野菜の画像

硬いビーツは下ごしらえが重要

食材としてのビーツの特徴は、なんといっても「歯応え抜群の触感」です。ただし、人によっては硬すぎると感じることもあり、お年寄りや小さな子どもにはやや難物です。そこで、生でサラダなどに使うときはできるだけ薄切りにするのが基本です。それでもかなり硬いことには変わりがないので、多くの料理ではビーツを熱してやわらかくします。

丸の状態で皮ごとゆでるときは、弱火で1~2時間を目安にしましょう。時間をかけてゆでることで形が崩れず、しかも鮮やかな色を保てます。水には酢またはレモン汁と塩などを加えておくと味つけになります。ゆで加減の基準としては、弱い流水で簡単に皮がむけるかどうかです。なお、ゆでたビーツには串をさすなどして穴を開けないように気をつけましょう。穴からは色素が流れ出てしまうので、見映えが悪くなりがちです。

ゆでる以外には、ビーツを焼いて下ごしらえする方法もあります。水洗いしたビーツをよくふいてから、アルミホイルで包みましょう。このとき、軽く塩をふっておくと風味が増します。

そして、120~140度に設定したオーブンで1時間ほど加熱します。高熱にさらすことで、ビーツの芯までやわらかくなるのがメリットです。ただし、ゆでるときでも焼くときでも皮は残したままにしましょう。皮があることで、ビーツのうまみを中に閉じ込めてくれるからです。

切ったビーツの画像

前菜からデザートまでどこでも使える

ビーツがシェフから支持されるようになったのは、使い勝手のいい食材だったのも大きな理由です。ビーツは前菜からサラダまで、どんなメニューにもアレンジして加えられます。食材そのものの味や歯応えを楽しむのであれば、サラダやピクルスがぴったりです。甘味や酸味とビーツの相性はよく、フルーツサラダなどに入れてみるのもひとつの方法でしょう。

さらに、スープの具材としても適しています。生のビーツはややクセの残る味をしているものの、スープに入れることでまろやかになります。何より、前菜やスープでビーツを使えば見た目のインパクトが増すのが魅力です。コース料理の序盤を飾るのに相応しい食材だといえるでしょう。

一方、メインディッシュにおいてもビーツは活躍してくれます。肉料理や魚料理に添えて、スタイリッシュな皿にしたいときには効果的です。また、ソースを煮込む際にビーツを加えると、鮮やかな赤やピンクに仕上がります。メインの皿を美しく彩りたいときのひと工夫になるでしょう。

そして、デザートでもビーツは有効活用できます。ケーキやマフィンといった焼き菓子は味だけでなく、見た目でも食べる人を楽しませられます。色付けにビーツを使って、印象的な赤いデザートを出してみましょう。驚きを提供するなら、真紅の仕上がりにしてみるのが得策です。

かごに入ったビーツと他野菜の画像

ビビッドな赤も淡いピンクも出せる

ビーツがプロのシェフ向けの食材といえるのは、色の濃淡を調整できるからです。料理の彩りやコースの雰囲気、季節感などに応じてビーツの色を変えてみると見事な演出になるでしょう。ちなみに、ビーツはそのまま使うとビビッドな赤色を料理に加えられます。サラダやピクルスなどでは、ビーツの天然の色合いを存分に楽しんでもらえるでしょう。

一方、ビーツの色素を利用する方法でも、鮮烈な赤色を残せます。たとえば、焼き菓子などにビーツを使うときなどは、これに該当します。ビーツそのものの味があまりしない場合でも、目の覚めるような色合いで料理のアクセントを生み出せるでしょう。

一方、ビーツの赤色を淡くしたいのであれば、ほかの食材と混ぜるのが理想です。たとえば、ビーツをスープに入れたとして、鮮やかすぎる色だと食欲をそそられない人もいるでしょう。そんなときは、ミルクや生クリームを加えると色が中和されてピンクになります。最初は生クリームを混ぜてしまわずにお客さんに出して、自分で色を変える楽しみを提供してもいいでしょう。

ビーツは使うニューによってビビッドカラーにもパステルカラーにもなります。しかも、天然の色素で健康にも配慮できるのは大きなメリットです。着色料では出せない、自然の色合いが料理を鮮やかに彩ってくれるでしょう。

ビーツと野菜のサラダ画像

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