2019.06.17

洋食にも和食にも合うほうれん草の種類や生産地は?

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ほうれん草はスーパーマーケットでも一年中見かける、日本人にとって馴染み深い野菜です。洋食にも和食にもあう万能な食材のひとつとして、さまざまな料理に利用されています。

生食に適しているものや、特定の時期にしか流通していないものなど種類もさまざまです。そこで、ほうれん草の種類ごとの特徴や栄養素、生産地や上手な保存方法などについて解説します。

ほうれん草の原産地や主な特徴

ほうれん草はアカザ科の一年草で、西アジアのペルシャ(現在のイラン)が原産地の野菜です。大きく分けると「東洋種」と「西洋種」の2つがあり、日本へは東洋種が先に伝わりました。

シルクロードを通って中国に入ったものが、江戸時代のはじめにあたる1600年代前半に海を渡ってきたといわれています。一方の西洋種は、ヨーロッパを経由して江戸時代の終わり頃に日本に伝わりました。どちらもペルシャが原産ですが、東と西に分かれて旅をするあいだに、それぞれの品種改良を経て日本にやってきたのです。

東洋種は、葉が薄くぎざぎざととがっていて、根元の部分が赤いのが特徴です。比較的アクが少なく、甘みがあります。西洋種は、葉が丸く肉厚で、根のほうまで緑色をしています。東洋種に比べてアクが多いですが、加熱調理しても崩れにくいのが特徴です。

ほうれん草の旬は冬で、11~2月頃には根元の部分に糖分を蓄えておいしさが増します。この頃に収穫されるものはビタミンCの量も多く、夏に比べて約3倍も含まれています。

冬が狙いめ!ほうれん草は栄養価の高い野菜

ほうれん草は、βカロテンが豊富に含まれる野菜のひとつです。βカロテンには、抗酸化作用や免疫を活性化する作用があるといわれています。また、体内に入るとビタミンAとして作用するので、夜間の視力を保ったり、皮膚や粘膜の健康を維持したりという働きをしてくれます。

βカロテン以外にも、ほうれん草はビタミンやミネラルも豊富です。以下に、茹でたほうれん草100gあたりの主な成分を示します。

・食物繊維:3.6g
・βカロテン:5400μg
・ビタミンE:2.7mg
・ビタミンK:320μg
・ビタミンB1:0.05mg
・ビタミンB2:0.11mg
・ナイアシン:0.3mg
・ビタミンB6:0.08mg
・葉酸:110μg
・パントテン酸:0.13mg
・ビタミンC:30mg
・ナトリウム:10mg
・カリウム:490mg
・カルシウム:69mg
・マグネシウム:40mg
・リン:43mg
・鉄:0.9mg
(五訂日本食品標準成分表より)

なお、ビタミンCについては、上記では旬の時期にあたる冬の数値で表しています。夏に収穫した場合は10mgになります。

目的別に使いたい!ほうれん草の種類

国内で流通しているほうれん草は主に4種類あります。スーパーマーケットや青果店でもっともよく見かけるのは「一代雑種」と呼ばれるもので、東洋種と西洋種を交雑させたものです。両者の特徴のよいところを持たせており、葉がぎざぎざした東洋種に近いものもあれば、丸みを帯びた西洋種に近いものもあります。

「ちぢみほうれん草」は「寒締めほうれん草」とも呼ばれ、縮んだ葉が横に広がったような形をしているのが特徴です。この独特な姿は「寒締め」と呼ばれる栽培方法によって作られるもので、特別な品種が存在するわけではありません。

一般的なほうれん草は冬のあいだはハウス栽培やトンネル栽培で作られますが、ちぢみほうれん草は12~2月の一定期間に外気にさらされた状態で育てられます。

寒さのなかで育ったほうれん草は、日光を集めるために地面を這うようにして成長しながら糖分を蓄えて甘くなりますが、このときに葉が変形するのです。ちぢみほうれん草は肉厚で旨みがある一方アクも強いので、食べるときはアク抜きのために下茹でが必要になります。

「赤軸ほうれん草」は、軸がきれいな赤い色をしていることから名付けられた品種です。根元から葉脈までが赤く、葉の部分は緑色でギザギザしています。アクが少なく生食でもおいしく食べられるのが、赤軸ほうれん草の特徴です。

茹でるとビタミンが流れ出てしまううえに色も悪くなりますので、生のままでサラダなどに彩りを加えるのに向いています。成長しすぎると茎が固くなるので、若いうちに収穫したものを使うのがポイントです。

「サラダほうれん草」は生食用に改良された品種で、アクが少なく茎の部分まで柔らかいのが特徴です。その名のとおり、サラダにしておいしく食べられます。

おいしさを保つほうれん草の保存方法

生のままのほうれん草を保存するには、乾燥させないようにするのがポイントです。濡れた新聞紙などでくるんで、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れておけば1週間ほどは保存可能です。

新聞紙でくるむ代わりに、たっぷりの水で洗ったあとに水気を切る方法もあります。冷蔵庫に入れるときは、土に植わっているときと同じように葉を上に向けるようにしましょう。

茹でたほうれん草を保存する場合は、冷凍にします。少しかために茹でたら冷水で冷やしてからしっかり水気を取り、冷凍保存用のジッパーバッグなどに入れれば1カ月程度は保存できます。

あらかじめ適度な大きさにカットしておけば、取り出して使うときに便利です。

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