2019.07.10
水産

旬と産地にこだわりたい!エビ4種のおいしい食べ方

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エビのイメージ画像

日本の漁港ではさまざまな種類のエビが水揚げされています。種類によって食材としての特徴が異なるため、しっかりと味わいたいならそれぞれに合った方法で食べることが大切です。

この記事では、特に旬と産地にこだわる価値のあるエビを4種類ピックアップしました。特徴を詳しく解説し、持ち味を考慮したおいしい食べ方も紹介します。

旬の時期を押さえたい活車エビ

日本で伝統的なエビ料理といえば、天ぷらや焼き物をイメージする人も多いでしょう。 活車エビはこれらの料理に昔からよく用いられており、名前の由来は体を曲げた状態が車輪のように見えることです。東南アジアや日本の海に広く生息していて、かつては東京湾でもたくさん獲られるなど、日本人にとって身近な食材となりました。

しかし、現代の日本では天然物の活車エビの漁獲量は少ないため、流通しているものは輸入物が多いですし、養殖物も高い割合を占めるようになっています。ただし、養殖物でも国内の養殖場からは生きた状態で輸送できるので、鮮度が悪くなって味が落ちるような心配はありません。

旬の時期に関しては、天然物と養殖物で大きく異なるので注意しましょう。天然物の旬は暖かい時期である6~9月で、養殖物の旬は寒い時期である12~2月となっています。国内における天然物の産地は愛媛や愛知などで、養殖物の産地は沖縄や鹿児島などです。注文すると、低温の仮死状態で届くのが一般的であり、多くの場合は乾燥を防ぐ目的でおがくずの中に入れられています。

活車エビはエビ味噌も味わえるため、生で食べると旨味が格段にアップすることも特徴の一つです。生のまま取り扱おうとするとコストがかかりますが、料理の仕上がりに大きな差が生じるのでお客様に満足してもらいやすくなるでしょう。

エビを使ったサラダのイメージ画像

濃厚な味噌を味わいたいセミエビ

セミエビの大きな特徴は、一般的なスリムなエビとは明らかに異なる姿形です。その名のとおりセミのような四角いフォルムをしており、成長すると全長は30cmにも達しますし、50cmに及ぶ大型のものも見受けられます。亜熱帯や熱帯といった気温の高い地域でよく見られ、日本における生息地も九州や四国の太平洋側、沖縄の周辺といった温暖な海です。

漁獲量は旬の時期を判断できないほど少なく、上記の海に面した産地でほとんど消費されているのが実情です。そのため、あまり流通しておらず、希少価値のある高級食材として扱われています。また、味が良くて需要があることも高級食材となっている理由の一つです。

繊維質の白い身がぎっしりと入っていて重厚感があり、熱を加えるとさらに引き締まって歯ごたえが良くなります。口に含むと濃縮されたような甘みが感じられ、体は大きいですが決して大味ではありません。エビ味噌が美味であることも有名で、身と同様に濃厚な風味を楽しめます。そのため、身も味噌もセミエビ自体のおいしさを楽しめるシンプルな味付けが望ましいです。

殻はとても硬いので食べるのには向きませんが、セミエビをそのまま焼いたりゆでたりするときに丈夫な容器としての役割を果たしてくれます。まさに無駄な部分がない食材であり、刺身や焼きエビはもちろん、ぶつ切りにして味噌汁に入れるような食べ方も人気です。

甘みが上品な富山の白エビ

白エビは日本の固有種であり、沿岸付近の深海に生息しています。水揚げしたときは透明で美しく、時間とともに白くなっていくことから、その名が付けられました。太平洋側でも獲れますが、日本海側の富山湾が一番の漁場であるため、地域のみならず県を代表する特産品となっているのです。ただし、富山湾でも年間を通して獲れるわけでなく、12~3月は禁漁期間と決められています。解禁されるのは4月1日で、そこから夏場までの期間が漁のピークです。

白エビの特徴として、鮮度がとても落ちやすいことが挙げられます。したがって、生きている状態で遠くの地域に出回ることはなく、基本的には富山湾の近辺にいないと生で食べる機会には恵まれません。

また、傷みやすいことをカバーする必要があるため、獲れたらすぐに急速冷凍をするのが基本です。その処置のおかげで白エビは一年中流通しており、ずっと旬が続いているような状況になっています。つまり、他の地域で料理に使うときは、冷凍のおかげで鮮度の良さが保たれているものを仕入れることになるのです。

生でなくても上品な甘みは損なわれないので、かき揚げや天ぷらにも適していますし、刺身にしてもおいしく食べられます。旬の時期に縛られずアレンジもしやすいため、料理人にとって非常に魅力的な食材です。

エビを使った料理のイメージ画像

生で味わいたい駿河湾の桜エビ

桜エビは、桜色をしており桜の咲き始める頃に旬を迎えます。具体的には、3月下旬から6月上旬の春が一度目の漁の期間で、10月下旬から12月下旬の秋が二度目の漁の期間です。国内では東京湾などにも生息していますが、水揚げされるのは静岡県の駿河湾だけであるため、貴重なエビとして取り引きされています。長いヒゲを取り除くことはありますが、それ以外は丸々食べるので栄養を摂取しやすい食材といえるでしょう。

桜エビが流通するスタイルは、素干しと生、釜揚げの3パターンです。このうち素干しは通年で出回っているのでいつでも料理に使えますし、乾燥して旨味が凝縮しているので和え物などのワンポイントとして便利です。

一方、生や釜揚げは素干しほど簡単には入手できず、旬の時期にしか食べられないので、出回ったら仕入れのチャンスを逃さないことが大切です。生の桜エビは甘みがつまっており、刺身や海鮮どんぶりの具にするような食べ方があります。

触るとプリッとしていますが、口の中に入れると優しくとろけていくのが特徴です。ただし、鮮度の問題により生は静岡県以外には流通しにくいので、なかなか手に入れられないこともあるでしょう。その場合は、次善の策として釜揚げを狙うのも一つの手です。鮮度が落ちくにくい分だけ広く流通しますし、ゆでてあるだけなので味付けも自由に行えます。

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