2019.06.17
牡蠣

牡蠣がおいしい地域は?種類ごとで違う旬の時期や仕入れ方法

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市場に流通している牡蠣は養殖ものがほとんどです。しかし、産地によって獲れる種類や旬の時期が異なります。

牡蠣をおいしく調理して提供するには、味わいの特徴や手に入りやすい時期を把握しておくことが重要です。

そこで、主な生産地や含まれる栄養素、新鮮な牡蠣を仕入れるための方法など、知っておくと便利な知識を紹介します。

牡蠣の漁獲量はどこが多い?

国連食糧農業機関(FAO)が2017年度に行った調査によると、世界で最も牡蠣の漁獲量が多かった国は中国で、480万トンにも及びます。次いで多かったのは韓国で、漁獲量は約33万トンです。3位はアメリカで、約20万トンでした。


日本の漁獲量は約17万トンと、世界第4位です。また、2017年度の日本国内の漁獲量を詳しく見て見ると、最も漁獲量は多かったのは広島県で、約10万3000トンでした。

これは日本国内においては圧倒的な量で、国内シェアの約60%を占めています。2番目に漁獲量が多かった宮城県は約2万4000トンです。国内シェアは約14%と広島県よりも少ないものの、牡蠣の産地として全国的に有名な地域の1つです。
3番目に多かった岡山県は約1万3000トンと、国内シェアの約8%にあたります。

なお、流通量は少ないものの、福岡県や長崎県、佐賀県、大分県などの九州地方に属する地域や、島根県や三重県、香川県、石川県などの四国・中部地方に位置する地域でも獲れます。

北海道や岩手県、新潟県などの比較的寒冷な地域や、静岡県や京都府、兵庫県などの本州の中央部に位置する地域も牡蠣の産地です。

熊本県や宮崎県、福井県、山口県、和歌山県でも牡蠣は獲れますが、漁獲量は非常に少なく、市場に流通することは珍しいでしょう。

海のミルクと呼ばれる牡蠣の栄養素は?

牡蠣1個あたりの重さはむき身で約20グラム、カロリーは約12calです。比較的カロリーは低いものの、含まれる栄養は豊富で、約1.3gのたんぱく質と約0.3gの脂質、約0.9gの炭水化物が含まれています。

さらに、ビタミンAや、ビタミンE、ビタミンB群、ビタミンCなどのビタミン類や、カルシウムやマグネシウム、ナトリウムをはじめとしたミネラルなど、さまざまな栄養素が含まれているのが特徴です。

特に、亜鉛の含有量は市場に流通しているどの食材よりも多く、1粒あたり約1.6mgの亜鉛が含まれています。

厚生労働省が推奨する1日あたりの亜鉛摂取推奨量は、成人男性が約10mg、女性が約8mgです。標準的な大きさの牡蠣を5粒ほど食べれば、1日に必要な量の亜鉛は摂取できるでしょう。

亜鉛はたんぱく質やDNAを合成するために欠かせない栄養素です。不足すると味覚障害や免疫力の低下などを引き起こすおそれがあります。
ただし、亜鉛の吸収率は加齢と共に低下するため、積極的に亜鉛を摂取しなければいけません。ほかにも、牡蠣に含まれる栄養素として、ナイアシンやビオチン、パントテン酸などの水溶性ビタミンなどが挙げられます。

鉄や銅も、血液を生成に欠かせない栄養素です。カリウムやリン、マンガンは骨の形成に関係しています。

セレンやクロム、モリブデンなどの酵素も含まれており、動脈硬化や糖尿病など生活習慣病の予防にも効果的な食材です。

牡蠣の旬はいつ?種類とそれぞれの特徴

食用の牡蠣にはいくつかの種類があります。
代表的なものは真牡蠣や岩牡蠣、スミノエ牡蠣、イタボ牡蠣、ヨーロッパ平牡蠣などです。

日本では真牡蠣と岩牡蠣が多く獲れます。真牡蠣は10月から4月にかけて獲れる種類で、流通している真牡蠣のほとんどが養殖です。

真牡蠣の旬は11月上旬から2月頃までとされていますが、これは真牡蠣の産卵期間と関係があります。

真牡蠣の産卵期は5~8月で、数カ月のあいだに一気に産卵しますが、産卵後は栄養素が落ちてしまうのです。産卵前の冬の時期のほうが栄養豊富で、旨味が濃縮されています。

真牡蠣は岩牡蠣よりも小振りながら、濃厚でクリーミーな味わいが特徴です。主に広島県や宮城県、岡山県などが真牡蠣の産地として知られています。

岩牡蠣が取れるのは獲れるのは6~9月です。真牡蠣とは違い、時間をかけてゆっくりと産卵するため、栄養素が大きく落ちることはありません。

そのため、岩牡蠣は獲れる時期ならいつでも旬と言えます。岩牡蠣よりも大粒でジューシーな味わいが特徴です。

有名な産地として石川県の能登半島や秋田県の象潟地域、佐賀県の有明町、長崎県の五島列島などが挙げられます。また、養殖ものがほとんどの真牡蠣に対し、岩牡蠣は天然ものが多く、真牡蠣よりも流通量が少なく希少な食材です。

なお、漁ができない冬季には天然ものの岩牡蠣は手に入りませんが、養殖ものなら1年を通して流通しています。

真牡蠣と岩牡蠣の選び方と仕入れ方法は?

真牡蠣と岩牡蠣はどちらも日本国内で多く流通している牡蠣ですが、選び方や仕入れ方はそれぞれで異なります。

まず、真牡蠣は三重県の的矢かきや岩手県の雪解け牡蠣など、産地ごとにブランド牡蠣が増えているのが特徴です。産地が違うだけではなく、粒の大きさや加熱したときの縮み方など、ブランドごとにさまざまな改良がされています。

真牡蠣を仕入れる際は、ブランドごとに比較しながら選ぶのも良いでしょう。産地が近ければ、直接買い付けに行くことも可能です。気になるブランドはあるものの、産地が遠く買い付けに行くのが難しい場合は、直送してもらえる生産者を探してみましょう。

岩牡蠣はほとんどが天然物で、獲れる場所によって味や粒の大きさに違いが出ます。産地を選ぶときは、実際に食べ比べてみると良いでしょう。仕入れの方法は真牡蠣と同じく、直接買い付けに行くこともできますが、産地によっては直送してもらうことも可能です。

なお、養殖の真牡蠣は1年中安定した品質のものが手に入りますが、岩牡蠣は時期によって品質に違いが出ます。漁が行われない時期は天然ものの岩牡蠣そのものが手に入らなくなってしまうので注意しましょう。

また、真牡蠣も岩牡蠣も、食中毒のリスクを避けるために、管理がしっかりと行き届いた生産者から新鮮なものを取り寄せることが重要です。

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