2019.07.08
水産

日本の四大カニを食べ比べ!特徴を知っておいしく食べよう

  • FACEBOOK
  • Twitter
  • LINE
かにの画像1

カニには、刺身や焼きガニ、カニしゃぶやカニすきなどのカニ料理があります。多くの種類があるカニのうち、水揚げの多い四大ガニは「タラバガニ」「ズワイガニ」「毛ガニ」「花咲ガニ」です。

今回は、食べ応えのあるタラバガニ、さまざまな呼び名を持つズワイガニ、濃厚なカニ味噌の毛ガニ、クセの強い花咲ガニの特徴とおいしい食べ方を紹介していきます。

タラバガニは脚肉の食べ応えが満点

タラバガニは食用のカニの中でも大きい部類に入るもので、主に足の部分に身が詰まっており食べ応えのある食感が特徴的です。タラバガニの漁場は、魚の鱈と重なることが多かったことから、タラバガニ(鱈場ガニ)とされたといわれています。

タラバガニは海水の温度が低いところで生息しており、オホーツク海やベーリング海が主な漁場となります。

日本でタラバガニが水揚げされるのは、寒い海に面した北海道だけです。流通しているタラバガニのほとんどは、ロシアやアメリカ、ノルウェーなどから輸入されているものとなっています。2012年のロシアからの輸入量は2,000万トンに近い量となっているのに対し、日本の水揚げ量は110トンに満たない量となっているのです。

そのため、北海道産のタラバガニは貴重なものであり、高値が付くことが多いのです。タラバガニは、名前の中に「カニ」の文字が入ってはいるのですが、生物学的にはエビ目ヤドカリ下目タラバガニ科であり、ヤドカリの仲間とされています。

ぎっしりと身の詰まった太い脚が左右に3本ずつの計6本と、大きな爪が左右に1本ずつの計2本があり、がっしりとした大きな甲羅が特徴的です。ただ、大きな甲羅の中には、カニ味噌はほとんど入っておらず、そのまま食べる場合はあまりおいしくないとされています。

やはり、タラバガニは脚に詰まった身を楽しむために、ボイルしたり、焼きガニにしたりするのが向いています。カニしゃぶやカニ刺しも、身の甘さを感じながら、口の中でとろけていく食感が楽しめるでしょう。

タラバガニの旬の時期は二度あり、身の甘みがぐっと増す4月~5月と、脱皮を終えて身がぎゅっと締まる11月~2月ごろです。また、脱皮回数が多く、大きくなるオスのほうがメスよりもおいしいとされています。

食用かにの画像2

ズワイガニは水揚げ場所で呼び名が変わる

ズワイガニの名称は「楚(すわえ)」という言葉からきています。楚とは木の枝や幹から、まっすぐに細く長く伸びた若い小枝のことです。ズワイガニの脚が細くて長い枝のように見えたことから、スワエガニと呼ばれていました。そして、スワエガニからズワイガニへと呼び名が変化していったのです。

そんなズワイガニは、水揚げされた地域によって名前が変わってきます。北陸地方で水揚げされたものは、地名をとって越前ガニと呼ばれます。同じ地域でもメスの呼び名は分けられており、セイコガニや香箱ガニと呼ばれ、越前ガニと並ぶブランドガニとなっているのです。

山陰地方では松葉ガニと呼ばれており、箱に詰めるときにズワイガニの脚をたたんだ部分が松の葉に似ているところから、呼ばれるようになりました。メスの呼び名は、卵を抱えているため親ガニと呼ばれます。丹後半島では間人ガニ(タイザガニ)と呼ばれており、漁港の名前から呼び名が付けられました。

もちろん、呼び名や水揚げされる場所が違っていても、基本的な部位は同じです。タラバガニと比べて少し小さめの甲羅の両サイドには脚が4本ずつあり、加えてハサミが1対の計10本となっています。小さめの甲羅ではありますが、中にあるカニ味噌は絶品です。そのままで食べても、甲羅に日本酒を注いでぐつぐつと煮立てても、濃厚な味を堪能できます。

ズワイガニの身は、柔らかく海の幸の旨味が強いのが特徴です。刺身やカニしゃぶだけではなく、カニすきをすれば良い出汁が出て鍋全体が旨味に包まれます。シメの雑炊では、ズワイガニの持つすべてを味わえるでしょう。ズワイガニの旬は、日本海側のものは12~3月ごろ、北海道付近では4~5月ごろです。

また、ズワイガニの甲羅に黒いブツブツが付着していることがあります。このブツブツはカニビルの卵であり、ズワイガニが脱皮を終えて身の詰まったものに付着するとされています。よって、おいしいズワイガニがどれなのか見極めるポイントとなるでしょう。

かにの画像

濃厚なカニ味噌を味わいたい毛ガニ

甲羅や脚の表面に細かな毛がびっしりと生えている毛ガニは、太平洋や日本海、ベーリング海やアラスカ周辺の海水が冷たい地域に生息しています。日本では、岩手県の宮古沖、北海道ではオホーツク沖、道東、日高沖、噴火湾の4カ所で主に水揚げされています。

それぞれの漁場で、よく水揚げされる時期が若干ずれているため、日本では1年を通して毛ガニが水揚げされているのです。毛ガニの注意しなければならないポイントは、水揚げされてからボイルされるまでの時間です。

毛ガニを水揚げしてから生の状態が続いてしまうと、泡を吹きだすことがあります。このとき、毛ガニの貴重な身も泡と一緒に吐き出すことがあるのです。こうなると、旨味も格段に下がってしまいます。

水揚げされた毛ガニは、なるべく早く茹でるようにしましょう。タラバガニやズワイガニと比べて小さめではありますが、味が非常に濃厚であり、多くのカニ味噌が詰まっています。毛ガニのおいしさを最大限に引き出す調理法は、最もシンプルなゆでガニです。

調理済のかにの画像

夏が旬の花咲ガニは独特のクセを活かす

花咲ガニ(ハナサキガニ)は、近縁種であるタラバガニと同じヤドカリの仲間です。花咲ガニを茹でると、赤く色づくところが花が咲いたように見えるところから、花咲ガニと呼ばれるようになったという説があります。

タラバガニと同様、甲羅の左右に脚が3本ずつあり、ハサミ1対をあわせて計8本となっています。タラバガニよりも、甲羅と脚のトゲが長く、脚の長さが短くて太いです。生息域が狭く出回ることが少なかったため、かつては「幻のカニ」といわれていました。

花咲ガニの身は、油分が多く味が濃厚であり、独特の甘い香りがあります。甲羅に詰まったカニ味噌だけではなく、外子も味わうことが可能です。

焼きガニにしたり、ゆでガニにしたりするだけでなく、味噌汁にしてもおいしく食べることができます。
花咲ガニの旬は、他のカニと違って、夏場の7~9月ごろとなっています。

関連記事