2019.07.10

にんにくは使い分けがポイント!切り方や加熱で効果が変わる

  • FACEBOOK
  • Twitter
  • LINE
皮付きにんにくの画像

にんにくは栄養価が豊富で滋養強壮にも効果があるといわれる食材です。ただ、にんにくは調理の仕方によって成分や香りが大きく変わってくる食材でもあります。

豊富な栄養価や独特の香りを十分に生かすためにも、包丁の入れ方や加熱の仕方をしっかり知っておくことは大切です。そこで今回は、どのように調理すればにんにくをより引き立てられるのか、なるべく具体的に解説していきます。

におい成分がにんにくパワーの源

にんにくの一番の特徴は、何といってもその強烈なにおいにあるのではないでしょうか。にんにくが持つこの強いにおい成分は、アリシンと呼ばれる栄養素であり、まさににんにくのパワーの源ともいうべき成分です。

アリシンには強い殺菌効果があり、動物が嫌うようなにおいを放って、イノシシなどに食べられないように身を守るという役割があります。また、その殺菌対象は細菌やカビなど非常に広範囲にわたる点もアリシンの特徴のひとつです。

ただ、にんにくはネギ属の植物なので、そのにおい成分であるアリシンも細胞に傷がつかない限りは分泌されません。にんにくに包丁を入れたり、すり下ろしたりすると強い刺激臭がするのもこのためです。

一方、細胞が無傷の状態では、アリシンはアイリンというアミノ酸の状態で保たれています。アリシンとは異なり、アイリンは刺激臭がなく無臭の成分です。そのため、にんにくに傷を付けずに加熱だけすると、強いにおいを発することなく食べられるというわけです。

ニンニクを食べるとスタミナがつくといわれますが、それは主にアイリンのおかげだということが確認されています。一方、にんにくの抗がん作用や解毒作用などは、主としてアリシンが持つ食品機能です。

こうした作用を効率よく得たいなら、にんにくを切り刻んだり、すり下ろしたりして食べたほうが効果的だといえます。

皮をむいたにんにくの画像

大事なパワーは油に閉じ込める

にんにくは酸素と結びつきやすい性質を持っています。酸素とにんにくの香り成分が結合すると、にんにく独特の香りが失われやすくなるほか、におい成分が持つ特徴的な栄養素も損なわれてしまいます。

ですから、調理の際は酸素と出会わないように、油を使って調理するのが効率的な方法です。

にんにくを油の膜で覆ってしまうことで、揮発してにおいの成分が変化することを防げるので、にんにくが持つ大事なパワーを必要なときまで残しておくことができます。油で調理することによって、口に運ぶまでにおい成分が残るため、おいしく食べるためにはとても効率的な調理方法です。

ただし、酸素に触れさせないために、生にんにくをオイル漬けで保存することは良い方法とはいえません。というのも、生にんにくをオイル漬けするとボツリヌス菌が繁殖しやすくなってしまうからです。

ボツリヌス菌は食中毒の温床となる細菌です。危険ですから、オイル漬けで保管しないのはもちろん、油を使って調理したにんにくも3週間以内には食べてしまったほうが安全でしょう。 また、未処理のにんにくなら常温でも保存可能ですが、油で調理済みのにんにくの場合は冷蔵保存が必須であることも忘れてはいけません。

ちなみに、生にんにくを常温保存する際は、室温が15~18度くらいで適度な湿度が必要になります。冬場は室温が低く乾燥しているので、にんにくも傷みやすい傾向があります。ですので、冬場は早めに調理するように心がけましょう。

にんにくとその他の画像

切り方で食感も香りも変わる

にんにくは細胞に傷をつけることで香り成分を強く出すことができます。そのため、切り方を工夫することで香りの度合いも変化させることが可能です。

たとえば、香りをそこまで出さずに調理したいなら、にんにくを皮のまま使用したり、包丁などで軽くつぶしたりする程度に留めて調理しましょう。皮のまま使うなら、にんにくの丸ごとローストや丸ごと揚げなどにすることができます。軽くつぶす程度にする場合は、炒め料理や煮込み料理が最適です。

香りを少し出したいときや、やや強めに出したいときなどは、1片を半分に切ったり、繊維に沿って横向きに薄切りしたりすると丁度良く仕上がります。

1片を半分に切った程度であれば、やはり炒め物や煮込み料理に使うとにんにくが引き立ちやすいです。一方、横向きの薄切りにする場合は、炒め物や煮込み物のほかに、かつおのたたきの薬味やパスタなどに使ってみてもおいしく仕上がるでしょう。

にんにくを縦に薄切りしたり、千切りしたりする場合は香りがさらに強くなります。ですから、よりにんにく独特の香りを楽しめるようになるので、炒め料理から煮込み料理まで幅広い料理との相性も良いです。

みじん切りやすりおろしにして使う場合は、ソースや薬味として用いるとにんにくの風味がより引き立てられます。すりおろしたにんにくは、肉などの下味付けに用いても良い仕事をしてくれるでしょう。

丸ごとにんにくの画像

中国産と青森産の違いは産地だけではない!

質の良いにんにくを選びたいなら、にんにくの産地にもこだわりたいところです。産地の違うにんにくは品種も異なるため、どの産地のにんにくを選ぶかによって味や香りも大きく変わってきます。

たとえば、中国産と青森県産のにんにくを比べてみましょう。青森県産のにんにくは福地ホワイトという品種で、ひとつひとつの実が大きくてずっしりしている点に特徴があります。粒は6~8片に分かれており、糖度と辛味のバランスが絶妙であるためさまざまな料理に合わせることができます。福地ホワイトは寒い地域で育つ寒地系のにんにくで、青森のほかにも岩手や宮城でも栽培されています。

一方、中国産のにんにくは暖地系の早生または嘉定という品種です。小ぶりな点に特徴があり、ひとつが10~12片に分かれています。福地ホワイトに比べて辛味が強く、刺激が欲しい場合に適したにんにくだといえます。

中国のほかにも、四国や九州で栽培されているにんにくも早生や嘉定であることが多いです。ただ、味や香りのバランスを求めるなら、やはり青森県産の福地ホワイトが適しているといえるでしょう。

すりおろしたときやスライスしたときも、福地ホワイトは香りを強く感じられるだけでなく、程よい辛さを楽しむことができます。香りより辛さを求める場合は中国産でも良いですが、安全面やバランスなども考慮すると同じ品種の国産にんにくを選んでおいたほうが安心です。

にんにく3つの画像

関連記事